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展覧会情報

グループ展に出展します。


Pictorially yours,

展覧会概要

□ 名称: Pictorially yours,

□ 会期: 2021年11月1日(月)-13日(土) 12:00-19:00 (日曜休廊/最終日17:00まで)

□ キュレーター: 大島徹也(多摩美術大学 准教授)

□ 出品作家: 小川佳夫、金田実生、小池隆英、中小路萌美、平野泰子、森川敬三、山口牧子、

吉川民仁

□ 企画: 表参道画廊

Work : Tamihito Yoshikawa, Gentle Wind, 2021 Design : Moemi Nakakoji + Tetuya Oshima



□ 趣旨:

「Pictorially yours,」は、英文手紙の結辞「Sincerely yours」(敬具)と「pictorial」(絵画の)という英単語を合成した造語です(英語として通用するかはさておき、字面から意味を何となく感じ取っていただければ充分です)。本展はいわば、観客の方々に宛てられた一通の手紙のようなものとして構想されています。

現在12名の作家と1名の美術史研究者からなる「Studio 138」という芸術研究会(2019年設立)があります。このたび、そのStudio 138の作家メンバーを主体とするグループ展のオファーが、表参道画廊から同研究会の方にありました。そこで、その1名の美術史研究者がキュレーターとなってStudio 138の作家メンバーの中から8名を選び、「Pictorially yours,」展として彼らの仕事をご紹介する次第です。

本展の出品作家たちの間には、全員が画家でありかつ上記の研究会のメンバーであること以外に、全体的な共通性は特にありません。世代的には50代が多いですが、30代も二人入っています。また、皆いわゆる「抽象」的な画家ですが、その度合いや問題意識には一まとめにして扱い難い違いがあります。

出品作家の中には、小池隆英や森川敬三のように、非対象の茫漠とした絵画空間を創り出す者もいれば、金田実生や中小路萌美のように、現実世界との視覚的関係性をある程度保持している者もいます。しかし、色彩同士の関係の問題に集中する小池がニュートラルに無題を貫くのに対し、森川は観者に連想を誘発するタイトルをしばしば用います。また、金田が自然現象中に漂う気配や外界に流れているエネルギーのようなものに関心を向けるのに対し、中小路は、彼女が目にする風景の構造へと迫り、世界の在りようを絵画として探り直していきます。吉川民仁と小川佳夫はともに、左官コテあるいはペインティングナイフによる絵具のペインタリーな扱いを特徴としていますが、吉川がその鋭敏かつ繊細な感受性をもって、自分を取り巻く自然から創造のインスピレーションを豊かに得るのに対し、小川の仕事は、画家としての彼と彼の人間存在の内奥にある何か衝動的なものや情動的なものとの対峙を感じさせます。山口牧子と平野泰子は、支持体と絵具層の関係ないし構造に関して、それぞれ興味深い実践をなしています。山口は麻紙の支持体に襞を寄せ、その裏面から表面へと絵具を滲み出させたりしながら、透明感と流動性のある複雑な色彩空間を作っていきます。平野は、サンダーで入念に研磨したフラットな石膏下地の上に何層もの異なる色彩を薄く塗り重ねる先に、崇高ささえ感じさせる深遠な絵画世界を生み出します。

本展の8名の出品作家たちの仕事はこのように多様ですが、彼らに関してここでひとつ確かに言えるのは、この時代にあって彼らが、絵画の持つ力をなお深く信じ、絵画としての表現、絵画というミディアムの新しい可能性をひたむきに探り続けているということです。これを本展のメッセージとし、本展に出品されたそれぞれの作品、そしてそれらが響き合う展示空間全体から、彼らの探求の意義を感じ取っていただけたらと思います。 (大島徹也)



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